不登校気味の小学生に親がやってはいけないNG対応まとめ
― 精神科医の視点で見る「子どもを傷つけてしまう関わり方」 ―
小学生の子どもが学校に行けなくなったとき、
多くの親は「何とかしなければ」と必死になります。
それは、
怠けさせたいからではない。
突き放したいからでもない。
心配だから。将来が不安だから。
でも実は、
良かれと思ってやっている対応が、
子どもの心をさらに追い詰めてしまうことがあります。
この記事では、
精神科医の視点から見た
「不登校気味の小学生にやってはいけないNG対応」をまとめました。
親を責めるためではありません。
「知らなかっただけ」のことが、ほとんどだからです。
NG① 正当性を主張する
「学校に行くのが当たり前でしょ」
「行かない理由がない」
大人から見れば、正論です。
でも、精神科医の立場から見ると、これは非常に危険な関わりです。
子どもはこう受け取ります。
「自分の感じているつらさは、間違っている」
「分かってもらえない」
結果、
気持ちを話すこと自体をやめてしまう。
不登校の回復に必要なのは、
正しさではなく「安全」です。
NG② 登校を強要する
「いつまで休むの?」
「明日は絶対行きなさい」
不登校気味の子どもは、
すでに限界まで頑張っています。
強要は、
一時的に登校できたとしても、
- 心身症(腹痛・頭痛)
- 不安障害
- 完全不登校への移行
につながりやすいと、精神科の現場では知られています。
行かせることより、壊さないこと。
これは非常に重要な視点です。
NG③ 子どもの様子を観察しない
「理由を言わない=やる気がない」
「家では元気だから大丈夫」
これは、大人がやりがちな誤解です。
子どもは
・安心できる場所
・好きなことをしている時
だけ、元気に見えることがあります。
でも、
- 表情が硬い
- 反応が鈍い
- 寝つきが悪い
こうしたサインは、
言葉より先に出るSOSです。
観察は、問い詰めることではありません。
「見る」「感じ取る」ことです。
NG④ 怒鳴る
「いい加減にしなさい!」
「どれだけ迷惑かけてると思ってるの!」
怒鳴ると、
子どもは一瞬で「思考」を止めます。
脳が
恐怖モードに切り替わるからです。
その結果、
- 話せなくなる
- 固まる
- 反抗か沈黙になる
怒鳴られて「前向きになる子」はいません。
NG⑤ 大人の常識を押し付ける
「社会に出たら通用しない」
「甘えてちゃダメ」
これは、
将来を思うがゆえの言葉。
でも小学生の子どもは、
まだ「社会」より「安心」が必要な段階です。
精神科医の間では、
子どもは
安心できた分だけ、外に向かう力をためられる
と言われています。
厳しさは、
回復してからでも遅くない。
NG⑥ 「普通」を強要する
「みんな行ってるよ」
「普通はこうする」
この言葉は、
子どもにこう伝わります。
「自分は普通じゃない」
「ダメな存在なんだ」
不登校気味の子どもは、
すでに自己肯定感が下がっています。
「普通」という言葉は、
追い打ちになりやすい。
じゃあ、どう関わればいいのか?
精神科医の多くが共通して勧めるのは、
“回復を急がない関わり”です。
- 理由を無理に聞かない
- 行く・行かないを責めない
- 安心できる日常を守る
そして何より、
「行けなくても、あなたの価値は変わらない」
このメッセージを、
態度と言葉の両方で伝えること。
親ができるいちばん大切な役割
不登校は、
親の失敗ではありません。
そして、
親ひとりで解決するものでもありません。
親ができるのは、
- 安全基地でいること
- 回復の邪魔をしないこと
それだけで、十分すぎるほどです。
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おわりに
もしこの記事を読んで
「やってしまっていた…」と思ったとしても、
どうか自分を責めないでください。
知った“今”から、
関わり方は変えられます。
親も、子どもと一緒に学んでいく存在です。




